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はじめに

これまでこのコラムでは中綴じ冊子、無線綴じ冊子についてのお話をさせて頂き。それぞれの製本方法の特徴についてお話しさせて頂きました。それでは中綴じ冊子と無線綴じ冊子って何が違うのでしょうか?

このコラムでは印刷物を制作する際に重要な選択の一つである製本方法でとして良く選ばれる「中綴じ冊子」と「無線綴じ冊子」のそれぞれの製本方法の特徴や、用途や目的など、中綴じ冊子と無線綴じ冊子の違いを、それぞれのメリットとデメリットを解説しながら説明いたします。

中綴じ冊子とは

簡単に言うと中綴じ冊子とは紙を半分に折ったものを重ね、中央をホチキスで綴じる製本方法に一つです。この中綴じ冊子は比較的コストも低く、短納期での制作が可能となります。一般的には、パンフレットやカタログ、小冊子、プログラム、会報誌などに利用されます。

中綴じ冊子のメリットとは

それでは中綴じ冊子のメリットをいくつか紹介させて頂きます。

ページをしっかり開く事が出来る

無線綴じ冊子と違い、中綴じ冊子の場合は180度、冊子を完全に開く事が出来るので見開きサイズでのデザイン可能という事が1番の特徴です。
カタログや作品集など、大きく見せたい部分がある場合に力を発揮します。

少ないページ数でも製本が可能

中綴じ冊子はページ数が少なくても製本が可能。簡易冊子が比較的安価に作成ができます。しかしページ数には決まりがあり、必ず表紙・裏表紙を含めた全体のページ数は「4の倍数」であることが条件となります。また、最小のページ数もあります。真ん中をホチキスで止める中綴じ冊子の場合は最小ページ数は8頁となり、4ページの場合は二つ折り冊子という形になります。

比較的低予算、短納期で作成可能

無線綴じ製本は接着材などを使用して専用の製本機を使用して製本するのに対し、中綴じ製本はオンデマンド印刷機のインラインで製本し、その後断裁作業と行って仕上げます。したがって無線綴じ製本よりも工程を少なく作成できますので、短納期、小ロットに適した冊子となります。

無線綴じ冊子とは

無線綴じ冊子は、ページの背を接着剤で固めてカバーをつける製本方法です。長期保存したい製本を作成する際に向いており、背文字を入れる事で保管時に一目で内容などを知ることが出来ます。この方法はページ数が多い冊子や、より高級感を出したい場合に適しており、書籍、報告書、マニュアル、カタログなど、長期間の保管が必要とされる印刷物によく用いられます。

無線綴じ冊子のメリットとは

では無線綴じ冊子のメリットについて見ていきましょう。

耐久性に優れている

中綴じ製本はホチキスで紙を綴じますが、無線綴じ製本は接着剤となる糊でしっかりと固定をし、表紙を巻く事によって、中綴じ冊子に比べて耐久性を持たすことが出来ます。したがって年次報告書や記念誌など、長期で保存をしたい冊子の作成に向いているという事が言えます。

仕上がりに高級感を出すことが出来る

無線綴じ冊子は「表紙」を付ける事で、中綴じ冊子には無い高級感を出すことも出来ます。本文との用紙の厚みを変更するだけでなく、色上質紙やレザックを表紙として使用する事で、オーソドックスなモノクロの冊子、というイメージを変え、質感やイメージを大きく変える事も可能となります。もちろん中綴じ冊子でも表紙部分となる用紙だけ他と変更する事も可能です。

また、「ページ数が多いものを製本可能」という無線綴じ冊子ならではのメリットを合わせる事で、背文字を作成する事も出来、製本が並んだ時にもその高級感を感じる事が出来ます。

背表紙に文字を入れる事で保管時に管理がしやすくなり、棚に並べた状態でも取り出しやすくなります。

ただし、背表紙を入れるためには、ある程度の厚み(5mm程度)が必要になります。

本文用紙を上質紙70kとした場合100頁位のページ数が必要になりますのでご注意ください。

ランクを上げた無線綴じなら「PUR製本」

無線綴じ製本の弱点は「冊子が開き切らない事」です。「ノド」と呼ばれる中央部分は冊子を開いた時に見えにくくなり、見開きなどで印刷面を表示する事には向いておりません。したがって文章などを入れる際にも中央部分は余白を使ってあけておくことが重要なポイントとなります。

その弱点を補う事が出来るのが「PUR製本」です。

一般的な無線綴じとは違った糊を使用する事で、無線綴じ冊子であるにも関わらず、ノド(綴じ部分)までしっかりと開く事が出来るため。エッセイ集や写真集などの無線綴じの場合にも強度を持ちながら大きく開く事が出来るのです。

しかし、一般的な無線綴じに比べて「納期」「コスト」の部分で大きく変わってきますので注意が必要です。

中綴じ冊子・無線綴じ冊子の比較

ここまで中綴じ冊子と無線綴じ冊子のそれぞれのメリットをご紹介させて頂きましたが、デメリットとなる部分も含めて簡単に表にまとめるとこのような感じになります。

中綴じ冊子無線綴じ冊子
コスト比較的安く作成可能中綴じに比べてコスト高
納期短い少し長い
耐久性低い高い
ページ数制限※14ページから60ページ程度制限なし
見た目シンプル・一般的高級・プロ仕様
用途・プログラム
・パンフレット
・会社案内
・カタログ
・報告書
・記念誌、会誌
・テキスト
・マニュアル
※1 レスキュープリントでは中綴じのページ数は48ページ程度、無線綴じは用紙によりますが6~700頁程度の制限となります。

上記に記載した比較表はあくまで目安となります。

無線綴じ、中綴じ冊子の比較表に関して、Q&Aを少しだけご紹介させて頂きます。


Q「無線綴じで作成したらすごく高くなるのかな・・・」

A「決して無線綴じが高い!という訳ではありません。モノクロの冊子であれば50頁で100部作成した場合、1冊あたり250円程度で作成する事が出来ます。」

Q「中綴じ製本で作成するとすぐにダメになってしまうのかな・・・」

A「ページ数に応じた用紙をしっかりと選択する事で、中綴じで作成した場合でも耐久性が悪いという事にはなりません。必ず品質のチェックも行います」

Q「テキストは中綴じには向いていないのかな・・・」

A「中央部分までしっかりと開く事が出来る中綴じ冊子であればテキスト作成にも向いています。その場合には書き込みに適した【上質紙】で作成する事をお勧めします。


中綴じ冊子・無線綴じ冊子の仕上がりについて

仕上がりのサイズについて

中綴じ冊子、無線綴じ冊子についての仕上がりのサイズについてはほぼ共通となります。

上記のようなA判、B判サイズなどの定型サイズ以外でも、正方形の仕上がりの冊子など、変形サイズの仕上がりについても作成は可能となります。

冊子の綴じ側について

冊子の綴じる方向に関しても無線綴じ、中綴じ共に同じことが言えますが、一般的に「右綴じ」「左綴じ」が存在し、その使い分けは本文の読んでいく方向によって決まることが多いです。

左綴じ
本⽂が横書きの場合は左側を綴じます。
左側が1⾴、右側が2⾴と⽂章が続いていきます。

右綴じ
本⽂が縦書きの場合は右側を綴じます。
右側が1⾴、左側が2⾴と⽂章が続いていきます。

まとめ

今回は無線綴じ、中綴じのそれぞれの特徴と違いについて説明させて頂きました。

どちらの製本方法が優れている!という訳ではなく、使用方法や用途に応じた製本方式を選ぶ事が重要となります。

レスキュープリントではお電話などでご相談を頂いた際に、ページ数やサイズ、用途に関してヒアリングを行い、どちらの製本方式が適しているかをアドバイスさせて頂いております。

また、どちらか迷っている場合には御見積をご依頼頂く際に、2つのパターンで御見積をさせて頂く事も可能です。もちろん御見積は無料となりますのでお気軽にお申し付けください。


Profile:

坂下大輔 
コピンピア一筋21年。会社随一のアイデアと閃きで、社内外に向けたいくつもの企画を成功に導き社長賞を何度も受賞。知識よりも感覚で仕事をするのが好きで、簡単なデザインならデザイナーに依頼せずに自分で作成してしまうことも。社員旅行では宴会ではしゃぎ過ぎる一面も持ちながら、息子の影響でFC岐阜とお寺巡りにはまっている。日本酒が大好きなのに焼酎が飲めないという変わったお酒好き。

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