あまり馴染みのない言葉かもしれませんが、現在行政を中心に広まっているUni-Voiceについて解説致します。
馴染みのない方でも日常生活で目にする機会があるので「あっ!!これってそういうことなんだ!?」という発見があるかもしれません。また、印刷業界に携わる方は今後対応を求められる機会が増えると予想されますのでイメージだけでも掴んでいただけると幸いです。
Uni-Voiceとは
【概要】
専用のスマートフォンアプリにて二次元コードを読み取ることで、紙面上の情報を音声情報として利用者に伝えることができるサービスです。
日本語だけではなく多言語にも対応しており、視覚に障害を持つ方や、日本語が読めない海外の方々へのコミュニケーションの方法として注目されています。
【背景】
視覚障害等を理由に郵送物や通知等に音声データがついていないことで、誤って廃棄される。伝わりにくい環境となっていることを危惧され、内閣総理大臣からも”先進的な事例、積極的な横展開するように努力していきたい。”と明言されており、これから行政を中心に広がっていくことが期待されています。
また、企業であれば宣伝効果に加え、社会的責任を果たしているイメージアップに繋がることが期待されます。
【どういったものに利用されているの】
公的通知、ハザードマップ、防災ガイドブックから医療施設や飲食店、イベント関係の印刷物等で利用されています。
Uni-Voice はどうやって作るの?
①自分で作成ソフトを購入して作成する
特定非営利活動法人 日本視覚障がい情報普及支援協会(JAVIS)の提供する音声ソフト
「JAVIS APPLI」を申請、購入し作成することができます。自治体向けは無償提供に対し、
法人・個人向けは1 ライセンス90,000 円にて購入する必要があり、また、作成する為にソ
フトウェアの使用方法等専門知識も必要となる為、費用体効果を検討する必要があります。
https://www.javis.jp/←こちらから申請が可能です
②外注により作成依頼をする
業者により価格は大きく異なりますが、①と比較して高価になるデメリットはあるものの、
専門家による作成、一任することでの人的資源のコストカットが可能です。
Uni-Voice はどうやって使用するの?
専用のアプリを使用し、コード(QR コードに似ております)を読み取ることで音声データ
に変換してくれます。無料で利用することができます。
・Uni-Voice(一般の方向け)
・Uni-Voice Blind(視覚に障害のある方向け)
Uni-Voice と印刷物
Uni-Voice に対応している印刷物を作成するにあたりいくつかのルールを知っておく必要
があります。主にデザイン段階での内容となりますが、受託する印刷会社もそれらを理解し、
必要があれば指摘できる必要があります。
① 音声コードの表示について
音声コードの周囲4mm には文章等が入っていないことを確認しましょう。
周囲が白抜きになっていれば大丈夫です。
また、前述した通り一見QRコードに似ている為、【音声コードである】説明文を載せ
る必要があります。
② 切り欠き加工・音声コードの配置について
音声コードの位置を示すために半円の切り欠き加工を行う必要があります。
音声コードは半円から25mm の位置に配置する必要があります。
印刷を挟むことで実際に起こった注意点
実際に起こった一例となりますが、
デザイン制作の段階ではルールに則り問題がなかったのに、元請が自社プリンターにて印刷サンプルを作成したところ、クライアントの使用しているアプリで読み込みができないといった事故が発生するケースがありました。
聴き取りから元請が使用したアプリでは読み込みが可能だった為、原因は分からず終いではありましたが、印刷環境や印刷データにより不具合が発生する可能性があるので、印刷会社は”印刷をすればいい”ではなく、大量印刷を行う前に必ずUni-Voice専用のアプリにて印刷会社で印刷した音声コードに問題がないかの確認が必要です。
まとめ
まだまだ広く普及はしていないUni-Voiceですが、行政を中心にこれから広く使用されることが予想されます。また、使用する企業、団体では社会的責任を果たしているイメージアップ、ブランディング戦略にも繋がることが期待されます。印刷会社も注意点のように『印刷をするだけ』では対応が不足しますので、本コラムを御覧いただき気づきがあれば幸いです。
弊社も2024年年始より10件を超えるご相談をいただき、その中で経験を積むことができました。もし、これから使用を検討される行政、企業、団体様がいらっしゃいましたらご相談ください!
Profile:
福田 邦正
数々の社内表彰を受ける、いま最も勢いがある社員の一人。ベテラン社員たちが尻込みする中、早々に会社公式X(旧Twitter)を立ち上げ、日々の更新を日課としている。中途採用組ながら、オンデマンド印刷や大型インクジェットプリントの知識だけでなく、創業からの社業である複写業務にも精通するオールラウンドプレーヤー。特にイベント関連ツール、移動販売の販促ツールの作成を得意とする。その豊富な知識と前職である金融機関勤務の経験を活かしたお客様対応力は社内屈指であり、顧客からの信頼も厚い。プライベートでは夜な夜な筋トレに精を出す2児のパパ。好きなプロテインの味はチョコレート。業務報告よりも筋トレ報告の方が多くなり、直属の上司を悩ませてしまうこともある。