レスキュープリントの主力商品である「冊子印刷」。
中綴じ・無線綴じ・折り冊子・上製本・平綴じなど、世の中には様々な製本方法がありますが、最近ちらほら聞くようになった「PUR製本」という言葉。
平たく言えば「高級仕様の無線綴じ製本」という事になります。
今回はこの「PUR製本」について特徴やメリット、デメリットも踏まえて説明していきます。
そもそも「PUR製本とは?」
年度末に向けて報告書・年次報告書・事業概要・論文冊子などページ数が多い冊子印刷が多くなってきます。その際におススメするのは「無線綴じ」という製本方法です。
無線綴じ製本の特徴は頁数が多い冊子を糊でしっかりと固定でき、丈夫な冊子が出来るという事。
しかしながら丈夫な反面「真ん中まで開きにくい」というデメリットが生じます。
PUR製本と一般的な無線綴じ製本の決定的な違いは使用する「糊」になります。
一般的な無線綴じ製本は、EVA糊という接着剤を使用します。ページ数が多い雑誌や文庫本を見る際に「綴じ部分(ノド)が開きづらく写真が見ずらいなあ」 と思ったことってありませんか?
そんな時に違いを発揮出来るのが「PUR製本」なのです。
一般的な無線綴じ製本はEVA糊を使用しますが代わりにPUR糊を使用します。
これは反応性ポリウレタン接着剤(Poly Urethane Reactive)の略称です。EVA糊に比べ2倍ほどの強度があると言われ、固まった後の糊も柔らかいという特徴があります。また、EVA糊は65℃以下で溶け出すのに対し120℃ほどとなっています。昨今の真夏の車の中に製本を置いていてもばらけることはありません。また高温でも解けない性質からリサイクルの際に古紙との分離が出来るため、日本印刷産業連合会の適正ランクリストでは最高のAランクとなっています。こういった糊の特徴から、PUR製本は、一般的な無線綴じ製本よりも強度が高く、大きく開くことが出来、環境にもやさしいといったメリットがあります。
PUR製本を作成する際に気を付けたい事
一般的な無線綴じ製本に比べて良い事づくめの「PUR製本」ですが、いくつかの注意点があります。
①納期が非常に長くなる
従来の無線綴じに比べてPUR製本は製本作業が難しいという点や糊が乾くのに時間がかかるという点から、完成までに多くの時間を要します。急ぎで使用したい冊子には向いていない仕様となります。
②コストが高くなる
こちらも重要なポイントです。使用する糊や作業工程の違いにより、一般的な無線綴じ冊子に比べるとコストは大きく変わってきます。限られた少ない予算の中で作成するには、少々ハードルが高い製本方法となります。
こんな時に活躍します
コストや納期に関しては少し置いておいて・・・
「PUR製本」はどんな時に活躍するのかをまとめてみました。
①本を開きながら両手が使える
PUR製本であれば冊子を開いたままにして置いておくことが出来るので、何かを見ながら両手を使いたいときに活躍します。また、テーブルに開いて置いた状態で見ることが出来るので、お子様に絵本を見せる時や他の方と一緒に見る際に使いやすい冊子です。
例:レシピ集・楽譜・絵本など
②見開きページが綺麗に表現できる
一般の無線綴じ冊子を作成する際にはおススメ出来ない「見開きページ」ですが、「PUR製本」であればノドまでしっかりと開くことが出来るので見開きで大きく表現したいページも綺麗に見ることが出来ます。
例:エッセイ集・写真集など
③繰り返し使用しても大丈夫
一般的な無線綴じよりも糊の強度が高いので、繰り返し開閉するような長期間使用する冊子に向いています。また、開きもよくなるので、冊子を抑えていなくても何かを書き込んだりする事が容易になり、開いたページをコピーする、などにも向いています。
例:ノート・テキスト・ビジネス資料など
まとめ
今回ご紹介させて頂いたPUR製本の使用例はごく一部です。
これまで無線綴じ製本を作成し、仕上がりに満足できなかった方は一度ご相談頂ければと思います。
今後も冊子についてのイロんな情報を不定期にご紹介させて頂きます。
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Profile:
田中文麿
社内ではオンデマンド事業に16年従事し、数多くの印刷会社を担当。その豊富な知識や経験を元にWEBサービス「レスキュープリント110番」を立ち上げ、その責任者としてお客様対応だけではなくサイトの広告運用まで行うWEBサービスのスペシャリスト。その反面趣味はアウトドアを好み、休みには家族でキャンプを楽しむ一面も。その行動力や人柄で社内での信頼も厚く「田中会」と呼ばれる飲み会も開催される程である。